講師と生徒さん達のふれあい日記
 クリムト2009.5.22
 ヌーダ・ウェリタスという言葉を知っていますか。
 いじめられて真珠を産み出すあこや貝。

 クリムトはこのことをよく知っていた人です。
 彼は女性の裸体の絵を多く描いています。
 なぜそれが美しいのか。さらけだす美学です。
 エゴン・シーレも同じく生きた、弟子です。

 ふたりとも、芸術かわいせつかの問題で、戦って生きました。
 ムンクも、同じ問題で悩んで苦しみました。
 一見あやしい、きわどい人に誤解される。でも、決してそうではない。私は、その他に、ロジェ・ヴァディムやゴッホ、報われず開放されなかった、芸術家を重ねあわせるのです。
 一見、変かもしれない。不幸かもしれない。でも、何が不幸なの。
 ロセッティのどこが不幸?オスカー・ワイルドのどこが不幸なの?普通の旦那じゃできないことをしている。
 私は、普通の住宅街を歩いて、そんなことを思いました。
 ムンクのどこが不幸?どこが悪い?病の中から、美を産んでいる。
 普通わからないかもしれない。でもどこが悪いの?
 怒りくるってとうぜんじゃないですか。自分の描いた絵が、問題にされたら。
 自分のつくったものが、けずられたら怒るの当然じゃないですか。
 その中の美。いじめられて真珠を胎内ではぐくむあこや貝。どこが悪いよ。いじめられて耐え抜く美学があるんだよ。
 クリムト、ロセッティ、ムンク、エゴン、ジャック・デゥミなんかには、そんな美学があるんですよ。

 ムンク2009.5.19
 クリムトとは路線が違いますが、同じく愛と死、エロスを表現した天才画家です。
 クリムトと対極的で、暗く、青っぽいイメージがする人です。

 クリムト2009.5.19
 彼の目、いいですね。
 ハンサムではありませんが、セクシービームのような眼光が、出ています。
 こんな目で見られたら、ドキッとしてしまいますね。
 心の眼と、合わせて。

 クリムトの絵2009.5.19
 この絵を見てください。

 この絵は、ギリシャ神話のパラス・アテナを描いた絵で、彼女は、戦の神です。
 戦といっても、暴力的に戦う戦ではなく、平和の神でもあるのです。

 この絵を見てみて下さい。彼女が、手に「裸の真理」の、人形を、もっています。彼女が通常もっているのは勝利の神ニケなのです。
 それを、「裸の真理」の女性を持っているということは、ヌーダ・ウェリタスに耐え抜いた者にこそ、勝利が約束されていることを、保証しているのです。
 
 自分が、検問に耐え抜いたクリムト。そんな、クリムトの心の痛みと葛藤が、見事に表現された、名作です。

 ヌーダ・ウェリタス2009.5.19
 ヌーダ・ウェリタスという言葉を知っていますか。
 別名、いじめられて真珠を産み出すあこや貝と言ってもいいでしょう。
 マザー・オブ・パール。

 クリムトは、自分が、検問と理解のなさに悩んだ人でした。彼は多くのエロチックな絵を残しています。
 彼が描いた「裸の真理」の、上辺を見て下さい。
 ここに書かれた言葉は、シラーの「すべての人に好かれる必要はなく、受け入れてくれる人のみ受け入れてくれればいい」という意味の言葉ですが、クリムト本人は、「真理は赤々と燃える」という意味の言葉を、最初書いていたそうです。
 それを、「わからない」という理由で、シラーに、書き換えるように、命令されました。

 生涯、検問と戦い、「自分は正しい」と信じ、闘ってきたクリムト。
 彼は、屈辱と我慢と共に、わかりやすい言葉に、書き換えたのです。
 ヌーダ・ウェリタス、さらけだす美学、耐える、けずられる美学。
 ダイヤモンドは、ただの石です。それを、けずられて、けずられて、耐え抜いて、きれいな宝石にはじめてなれるのです。
 それを、よく知っていたクリムト。勝利の神は、それを、保証していたのです。
 

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